2012年4月25日水曜日

複合性局所疼痛症候群 - Wikipedia


複合性局所疼痛症候群(ふくごうせいきょくしょとうつうしょうこうぐん、英:Complex regional pain syndrome,略称CRPS)は、交感神経の過剰な活性化に関っていると考えられる疼痛である。神経因性疼痛の代表的疾患であり、体性神経の損傷および骨・筋肉組織損傷、外傷(重症度は関係ない)、内臓疾患、中枢神経系損傷後に発症するとされるが、明らかな先行した損傷がなくとも発症することがある。 また、感覚過敏・アロディニア・代謝異常・浮腫・腫脹・皮膚温異常・局所的骨粗鬆症など様々な症状が観察されることが多い。最も多発する部位は手であり、その場合は同側肩関節の運動制限を伴うことが多い。この病気は、難病指定はされていない。


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以前より、交感神経系の影響により慢性疼痛となる可能性は指摘されており、その中に、カウザルギー・反射性交感神経性ジストロフィー(RSD)・肩手症候群(Shoulder hand syndrome,SHS)・外傷後ジストロフィー・ズデック骨萎縮・交感神経性持続疼痛などがある。現在では、これらの用語が病気の兆候や症状を適切に表現するには適切でないとされ、国際疼痛研究学会(IASP;International Association of the Study of Pain)は、複合性局所疼痛症候群(CRPS)という用語の使用を勧めている。しかし、臨床現場では依然として旧名称が用いられる事が多い。

Ⅰ型
神経損傷のない組織損傷に関連するCRPS。RSDがこれに相当する。受傷後数週間経過してから発症する事が多い。
Ⅱ型
神経も巻き込んだ損傷に関連するCRPS。カウザルギーがこれに相当する。受傷直後に発症する事が多い。

臨床検査として、サーモグラム・神経伝導速度試験・交感神経ブロック・筋電図・X線写真・三相性放射核種骨スキャニング・コンピュータ断層撮影(CT)・核磁気共鳴画像法(MRI)等を用いる。しかし、これらの試験においてCRPS患者は正常な所見を示す場合もある。


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CRPS診療用診断基準(IASP,2005)
  1. きっかけとなった外傷や疾病に不釣り合いな持続性の痛みがある
  2. 以下の4項目のうち、3つ以上の項目で1つ以上の自覚的徴候がある
    1. 感覚異常:自発痛、痛覚過敏
    2. 血管運動異常:血管拡張、血管収縮、皮膚温の左右差、皮膚色の変化
    3. 浮腫・発汗異常:浮腫、多汗、発汗低下
    4. 運動異常・萎縮性変化:筋力低下、振戦、ジストニア、協調運動障害、爪・毛の変化、皮膚萎縮、関節拘縮、軟部組織変化
  3. 診察時において、上記の項目のうち、2つ以上の項目で1つ以上の他覚的所見がある
  4. 上記の症状や徴候をよりうまく説明できる他の診断がない
CRPS臨床用判定指標(CRPS研究会,2008)

自覚的症状(病気のいずれかの時期に、以下の自覚的症状のうち2項目以上該当すること)

  1. 皮膚・爪・毛のうちいずれかに萎縮性変化
  2. 関節可動域制限
  3. 持続性ないし不釣り合いな痛み、しびれたような針で刺すような痛み、または知覚過敏
  4. 発汗の亢進ないしは低下
  5. 浮腫

他覚的所見(診察時において、以下の他覚的所見の項目を2項目以上該当すること)


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  1. 皮膚・爪・毛のうちいずれかに萎縮性変化
  2. 関節可動域制限
  3. 異痛症(触刺激または熱刺激)ないしは痛覚過敏(ピンプリック)
  4. 発汗の亢進ないしは低下
  5. 浮腫

[編集] 臨床症状

  • 刺激を起している損傷や疾病とは不釣り合いな激しい疼痛
  • 疼痛性刺激に対する過剰反応
  • 通常なら疼痛を起さない刺激に反応した痛覚
  • 皮膚萎縮(光沢・乾燥・鱗状を示す。)
  • 多汗症
  • 浮腫
  • こわばり
  • 毛髪の成長低下
  • 患部のまだら様骨粗鬆症
  • 運動制限
  • 皮膚温異常
  • 筋萎縮
  • 爪の変化(初期は速く伸び、やがて伸びにくくなる。脆くなる。)
  • 症状の拡大

[編集] 8F">発生機序

交感神経が疼痛に影響するメカニズムは2009年現在明らかにされていない。しかし、そのメカニズムは交感神経求心性線維または遠心性線維から放出される神経伝達物質によって、侵害受容器を直接刺激することに起因するとされる。疼痛により生じる交感神経活性は、求心性C線維を活性化させることがあり、これは二次痛を増大させる。これはさらに交感神経の活性を亢進させ、痛みの悪循環が形成される。

[編集] 罹患期間

CRPSの罹患期間は多様である。軽症の場合は、数週間後に寛解するが、多くは何年にも渡る。寛解と再発を経験する場合もある。 以前はステージによる病期分類が行われていたが、疾患の進行は患者により様々であり、予期が困難である為、現在はあまり使用されていない。


[編集] 関連項目

[編集] 参考文献

  • Michelle H.Cameron 編著 渡辺一郎 監訳:普及版EBM物理療法 第2版.













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